発達障害は、いくつかの異なるタイプに分類されます。
以下に、よく知られている発達障害の分類を簡単に説明します。
コミュニケーション能力や社会性に関連する脳の領域に関係する発達障害の総称です。自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を含みます。
自閉症は、「言葉の発達の遅れ」「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、こだわり」などの特徴をもつ障害です。最近では、自閉症スペクトラムと呼ばれます。診断を受けた年齢で最も多いのは「3歳」と言われています。
アスペルガー症候群は広い意味での「自閉症」に含まれる一つのタイプで、「コミュニケーションの障害」「対人関係・社会性の障害」「パターン化した行動、興味・関心のかたより」がみられます。自閉症のように、幼児期に言葉の発達の遅れがないため、障害があることが分かりにくいのですが、成長とともに不器用さがはっきりすることが特徴です。
乳幼児期に症状が現れる発達障害で、ほとんどが女児でみられます。
症状や病気の程度には大きな幅がありますが、病気の約8割以上を占める典型的な患者さんでは、生後6か月くらいまでは一見正常に見えますが、それ以降に、体が柔らかい、四つ這いや歩行などの運動の遅れ、外界への反応が乏しい、視線が合いにくいなどの自閉症状が出ることが多い傾向です。
多くは1歳6か月から3歳までに、今まで使っていた手の運動が上手にできなくなり、手を合わせる手もみ、手絞り様、一方の手で胸を叩くような動作などの、特有な手の常同運動が出現します。この時期に四つ這い、歩行などの運動機能もできにくくなり、それまで出ていた言葉が出なくなったりする退行現象が認められます。また、けいれん、呼吸の異常、頭囲の発育の伸びが鈍くなるなどの症状が現れることがあります。
小児期崩壊性障害は、以前にできていたことが、いくつもの領域でできなくなってしまう障害です。
言えていた言葉が言えなくなったり、対人コミュニケーションがとれなくなったり、常道行動や強迫行為を繰り返すようになったりします。常に不安感を持つほか、排便や排尿のコントロールもできなくなります。
多くの患者さんに、中等度~重度の精神遅滞がみられます。
発症時期はほとんどが3~4歳までです。数ヵ月間の前駆期があり、言うことをきかなくなり、いらいらし、不安気に泣いたりすることが続きます。その後、数日や数週間の活動低下を伴って、比較的急激に発症します。自閉症と似ていますが、自閉症は最初から発達の遅れが目立ちますが、小児期崩壊性障害は、発症するまでは通常通りに発達しているように見え、それがのちに損なわれます。また、レット症候群も似ていますが、小児期崩壊性障害より非常に早く症状が現れる点で異なります。また小児期崩壊性障害は、レット症候群に特徴的な手の常同運動がありません。
自閉症やアスペルガー症候群など、他の広汎性発達障害の特徴がみられるものの、それらの基準を満たさない場合に診断される障害です。
注意欠陥多動性障害(AD/HD:Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)は、「集中できない(不注意)」「じっとしていられない(多動・多弁)」「考えるよりも先に動く(衝動的な行動)」などを特徴する発達障害です。診断を受けた年齢で最も多いのは「8~10歳」と言われています。
学習障害(LD:Learning DisordersまたはLearning Disabilities)とは、全般的な知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力を学んだり、行ったりすることに著しい困難を示すさまざまな状態をいいます。
トゥレット症候群(TS:Tourette’s Syndrome)は、多種類の運動チック(突然に起こる素早い運動の繰り返し)と1つ以上の音声チック(運動チックと同様の特徴を持つ発声)が1年以上にわたり続く重症なチック障害で、このような運動や発声を、本人はそうするつもりがないのに行ってしまうのが特徴です。
吃音(Stuttering)とは、音の繰り返し、ひき伸ばし、言葉を出せずに間があいてしまうなど、一般に「どもる」と言われる話し方の障害です。
幼児・児童期に出始めるタイプ(発達性吃音)がほとんどで、大半は自然に症状が消失したり軽くなったりします。しかし、青年・成人期まで持続したり、青年期から目立つようになる人や、自分の名前が言えなかったり、電話で話せなくて悩む人もいます。
参考文献: